僕らの情熱

ワクワクする人生を。

ふたりとの関係

上のENAがもうすぐ10歳。

下のARATAがもう7歳。

 

子が生まれたその時から

父親としての自覚を持てた男は、

果たして何人いるのか。

 

僕が父親らしい感情をもったのはこの数年のこと。

 

子ふたりがオギャーと生まれてからしばらく、

ふたりとの関係性がピンと来なかった。

 

それがひとりずつ、言葉を発するようになった。

「アー」とか「ウー」で始まり

「ばーば」「まんま」のあとに僕は呼ばれたと思う。

 

「ぱぱ」「とーちゃん」「おとうさん」

 

何万回呼ばれたかわからない。

それでやっと、僕は父親でふたりは子なんだとわかってきた。

 

「ぱぱ」「とーちゃん」「おとうさん」という数えきれない声掛けで、

やっとわかってきた。

 

 

 

ふたりに何ができるのか?

 

 

 

そんな問いを続けるが、

引き出しがない。

 

なので、祖父がよく話してくれたこと、父からの問いを二人に伝えている。

 

ずっと以前に、祖父が小学生の僕に何度も話してくれたこと。

戦争の話で、「昨日まで一緒に笑っていた友人が次の日死んでいた」

熱燗をやりながら何度も話してくれた。

 

僕はそれをなるべくそのまま伝えようとしている。

 

「意思と関係なく、明日死ぬ可能性があるよ」

 

 

 

それから、父の問い。

 

僕が何回も留年し彷徨った挙句、証券業界に飛び込むことを決めたとき。

 

「おめでとう」と言うかわりに。

 

 

「良いのか?」と覚悟を問うた。

 

その問いは愛に満ちていた。

 

 

祖父と父の教えはひとつずつ。

 

 

 

 

 

明日死ぬ可能性があるよ。

 

 

 

 

 

覚悟はあるのか?

 

 

 

 

 

 

僕がふたりに伝える番がまわってきた。