合宿にて。
2日目、まともに登れないほどにバテた。
後ろに下がろうとした僕に、彼はひとこと。
良いの?
その問いは、僕の脳を鷲掴みにした。
いきます。
と答えた。
その後もう一度、僕は後ろに下がろうとした。
あまりに体が動かず、無理についていっても練習効果はどうだろう、などと言い訳めいたことを思っていた。
彼はひとこと。
別府さん、良いの?
良くないっす。
いきます。
気づいたら答えていた。
僕は初の100マイルをDNFしたとき、彼が優勝するところを目撃した。
僕もあんなことをやってみたいと思い続けて、今までずっと練習している。
そんな彼が僕に放った問いだ。
良いの?
良いはずないよ。
僕もあんなことをしてみたいんだから。
僕も強くて優しい人になりたいんだから。
この問いは、この先僕を何度も蘇らせてくれる魔法の言葉だ。