帰国後初日は快調で、週末はリカバリーがてらロングライドかハイクかな!と思っていた時期が僕にもありました…。
とりあえず安静に週末を過ごしていますw
さて、レースを振り返ると案外思い出せんるんですよね。
あいにく、区間毎のタイム計測を行わなかったこと、公式HPの区間タイム掲載前であることから、定量的な要素に欠ける振り返りです。
くれぐれも!
【MITIC112km9,700m D+】
結果
29時間14分27秒
総合60位/397人中
40歳未満男子 34位/81人中
という、まだ何の爪痕も残していない者による振り返りだとお忘れなきよう。
また、長いよ!文字ばっかりじゃん!という方にとっては、好きじゃない記事かもしれません。
まーぽつぽつ読んでいくよーという心の広い方がおりましたら、ぜひ最後までお付き合いください。
前編・中編・後編と続きます。
MITICコース概要
以下、HPからの抜粋です。
- 112 k (70 mi.) 9.700 meters (6 mi.) of elevation gain and 9.700 metres (6 mi.) of elevation loss(*)
- The most technical sections: 2 completely safe rocky ridge sections
- Steepest slope: 30% (882-meter climb in 3 km) from Pla de l'Estany to Comapedrosa peak
→序盤のA1からコマペドローサ山頂までは、斜度30%。
それも巨大隕石のような岩がみっちり詰まっている足場が延々と続く。
- Longest ascent: 8.5 km (1,553-meter climb or, in other words, a gradient of 18%) from Margineda's bridge at Coll del Bou mort
→マルジネダのエイドから次のピークまでが最長の登り区間。8.5kmで1,553m up。
加えて、『マルジネダの下り』(Bony de la Pica~Margineda)が約7kmで約1,600m downとなっており最恐のガレ場下り区間。(こちらも詳細は後ほど)
- Average altitude: 2,048 meters
- Sticks allowed
- 10 refreshment points
標高図
パート毎の振り返り
STARTまで
今回僕は、フィールズ・オン・アース(以下FOE)さんのツアーを利用。
以下、これまでのスケジュール。
7月16日(火)14時 成田空港発(香港経由)
人生2度目の海外旅行。とりあえず無事飛行機に乗る。
7月17日(水) バルセロナ空港着、バルセロナ市内観光、バルセロナ泊
バルセロナに到着してテンションは上がる。
ブケリア市場へ。
肉も野菜も果物も、色彩豊かで目がチカチカするほど。
肉と野菜を補充!
ただの八百屋が面白い。
サクラダファミリア。池を挟んだ向こう側が無料でイケてる写真スポット。
ホテルのエレベーターで「閉まる」ボタンがないことに気づく。
急がない国民性だから、とのこと。
素晴らしい。
夜は屋台村へ。
オリジナルとイカスミのパエリアを2種類!
レース前なので食べ過ぎないように…。
7月18日(木) モンセラット観光、アンドラ公国オルディノ教区到着・一泊
翌朝からモンセラット観光へ。
黒のマリア像を拝観。
像までの雰囲気から、怖い顔をしていると思いきや、微笑しているように見えた。
聖なる山、モンセラットでもクライミングする人はいる。スカイレースも行われるそう。山と人が近く、寛容だ。
ニヤニヤしながら走るポーズ。
あ、あれ、何しに来たんだったけ?と思ったのは一瞬ですw
その日のうちにアンドラ公国オルディノ入り。
7月19日(金)7時 RONDADELCIMS START見送り
名物の太鼓
いよいよ…。
スタートの様子を動画で。
本当、格好良かった。
スタート/ゴールのOrdinoは、小さな街(僕にとってちょうど良いサイズ)で、受付やデポ、買い物でウロウロするのも楽。そんな街の中心で開かれる一大イベント。
たまらん!
7月19日(金)22時 MITIC START
MITICのスタートは夜10時であるため、当日朝RONDAのスタートに立ち会った後は、ひたすらホテルの部屋でゴロゴロしていた。
3~4時間ほどは眠ったはず。
体調が日本を発った時点からやや怪しく、前日(18日晩)から喉の痛み・鼻水・微熱感が出てしまっていた。
喉の痛みについては、乾燥している気候によるものでもあり、大して気にしなかったが、鼻水・微熱感が嫌な感じ。ただ、4月のUTMF時と比べると問題なく、直近の調子も良かったため、体調を差し引いてもプラスになっているな、と感じていた。
とは言え、直前の体調の変化については、「またか」という感情は捨てきれず、モヤモヤしながら居眠っていたと思う。
眠りから覚めたとき、僕にとってはサプライズとなる贈り物があった。
それは、元上司のHさんからの応援メッセージだった。
Hさんとは、仕事を通じて衝突したこともあるが、あるときから僕が走ることを全面的に応援して下さっている素敵な方だ。
Hさんには多くを話している。僕が走り始めたきっかけ、僕がKOUMIという100マイルレースで優勝するために練習している理由、今回アンドラを選んだ理由。
Hさんからのメッセージは以下の通り。
「ついに夢舞台ですね!楽しんできてください!
タイムとか順位も気になりますが、その前に海外のレースに参加できていること自体をご家族に感謝して、レースを満喫することが大事だと思います。
もっと言えば無事に日本に帰ってくることが大事ですので、欲張らず、無理せずレースを満喫して、その上で完走することができたら、スゴく素敵なことだと思います。
気張らず頑張って来てください!応援してます!」
このメッセージが目に飛び込んできたとき、僕はやっと吹っ切れた。
体調の変化なんてちっぽけなことだ。
家族に感謝すること。
アンドラを満喫すること。
ベストを尽くすこと。
19時になり、ホテルの特製ディナーにありつく。
FOEの久保さんが特別に手配してくれたものだ。
このほかにフルーツがもりだくさん。
久保さんは、RONDAの選手のサポートの合間をぬって、かけつけてくれた。
パワフルな食事を摂りながら、久保さんの丁寧なアドバイスを聞いていると、心が穏やかになっていく。
久保さんのアドバイスは、Andorraをよく知っている者にしか言えないであろうものばかり。
そうして僕はディナーを終え、部屋に戻り、一休みしてからゆっくりと準備を始めた。
21時ごろから、約400人のランナーがオルディノ中心部のスタート(ゴール)地点に集まり始める。
音楽あり、マイクパフォーマンスあり、とても賑やかだ。
やはり太鼓は欠かさない。
400人が集合。
僕は、すぐ目の前のホテルに滞在していたため、30分前に外に出たが、滞在先のホテルが遠い場合は、すぐにスタートの列に加わらずにそばのカフェ等でのんびりしておいた方が良いと思う。もしくは、スタート列に加わったうえで、堂々と地べたに座るか、だ。(そうしているランナーも多い)
装備チェックは、スタート列に加わるタイミングで行った。今回は、スタッフが『エマージェンシーシート』のトランプ大のカードを持っており、『エマージェンシーシート』のみの携帯チェックだった。年によっては、必携品がひとつずつ記載さているトランプカードをランナーが引き、でたものをチェックするということもあったようだ。(ちなみに、当日の受付時は携帯電話番号の確認のみで、装備品チェックはなし。)
チェックを終えて。
こうしていよいよSTARTへ。
『STARTまで』のまとめ
✔フィールズ・オン・アース最高。久保さん最高。
✔MITIC出場の場合、スタートまでとにかく眠る。眠れなくても横になって目を瞑る。
✔応援してくれる方を大切に。
✔なるべく調子を上げておく。体調が変化しても差し引きプラスになる。
START~Pla Estany(エイド1) 15km地点
そして、START!
花火あげて、ワーワー言いながらw
夜遊びのはじまりはじまり~!
久保さんが仰っていた通り、皆ガンガン飛ばす。ほとんどがエイド毎に潰れていくので、くれぐれも付き合わないようにというアドバイス通り、ゆっくり走り始める。
スタートから数kmはロード。ふと前方に、トレーニングパートナーの北原さんの後ろ姿が見える。
レンガ作りの家の合間を抜けながらフラットなトレイルへ。街の大通りから一本入ると、それなりに木の茂ったしっかりとしたトレイルが始まった。
サーフェスは日本の走りやすいトレイルと変わらない。
気温が高いのか、やたらと汗が出る。多汗は、体調の変化が影響しているかもしれないが、心拍や筋肉に異常はないので、調子は上がってくる気配を感じた。
斜度がきつくなるとともにほぼ全てのランナーが歩きに切り替える。
その後も登りはほぼ歩き。僕と比べると、皆大股でガシガシ登るイメージ。ただ登りのスピードは特別速いものではない。
登っていく途中で何度か北原さんと合流。お互いマイペースで進み、前後数人を挟んで入れ替わる。
この辺りで北原さんから、体調がイマイチだという話を聞く。
「昨日の夕方寒かったよねぇ。あれまずかったかな(前日2人でとった夕食のこと)」と僕。
北原さんは耳にきているようで、お互い無理はせず様子を見て判断しようと声を掛け合う。
足元はぬかるみも出てくるものの、土基調のトレイルで順調そのもの。
そうして、Pla Estany(エイド1)に到着。
到着して、いきなりギョッとする僕。
ミネラルウォーターが見当たらないwww
「Water?!」と言うと、
「There(^-^)」と笑顔で示される。
その先には、ホースから流れる湧き水。
思わず、後から合流した北原さんに聞く。
「水ってこれ?w」
「この辺は大丈夫だと思いますよ^-^」
え、そうなの?
山小屋から引いてる水はそれなりにリスクあると聞いてたけど…。
「おけ、飲みます!」
背に腹は代えられない。手ですくって眺めた後に飲んでみる。
大丈夫そうだ。
ボトルに補給する。
ちなみにAndorraの水が素晴らしいのか、僕の胃腸が鈍感なのか、水にあたることはなかった。
(※その後各エイドにボトル入りのミネラルウオーターあり。なぜかはじめのエイドでは見当たらなかった。ときおりあるチェックポイントで同じように山小屋からホースで引かれた水を飲んだが、あたることはなかった)
北原さんは体調が悪そうで、くれぐれも無理せず行こうと確認し合う。
ゴール後、北原さんから直後のコマペドローサの途中で引き返しDNFしたと聞いて、さすがに賢明な判断だと感心した。
レース直前の体調不良は、僕も何度か経験している。
走り始めて調子が良くなるか横ばいであれば続行しても良いが、悪化・もしくは悪化の気配が早々に出た場合は、DNFすべきだ。
『START~Pla Estany(エイド1)』のまとめ
✔とにかく慣れる
✔体調悪化の際は、慎重に判断
✔皆、歩きがメイン(特別速くない)
Pla Estany~Comapedrosa(エイド2)21km地点
いきなり大ボスComapedrosa(標高2,942m)。
直登が続く。
3kmで880mup。
このパートは、斜度もきついがサーフェスが明らかに日本と異なる。
正確には、僕がこれまで日本で練習してきたトレイルとは異なる。すぐに巨大な隕石のような岩々した様子となり、岩の隙間に落ちでもしたら下半身が埋まりかねない。
自然と、手足の置き場をいちいち確認しながら登ることになる。
また、落石が発生しやすい。実際、何度も落石を知らせる叫びが山々にひびき渡り、それはそれは賑やかだった。
序盤ということもあり、体力には余裕がある。安全第一で登り続けたパートだ。
山頂に到着する。まだ真っ暗だ。しかし満月が煌々としている。
RONDAの選手はここを明るいうちに通過する。それはまた別の絶景だったろう。
山頂を通過するとすぐに下りへ。
同じ斜度で下らせる。それも同じようなガレ場だ。
久保さんからのアドバイスを頭の中で繰り返す。
下りでガンガン抜かれますけど、まったく気にしないでください。付き合うと、潰れます。
日本のレースだって、下りで抜かれる僕だ。下りで抜かれることには慣れてるよ、と思い下り始める。
そして、とんでもなく抜かれるwww
このガレ場をこの斜度の下りをなんでそんなに下るかね?という勢いで足を置いていく。
確かにこの先のエイドで潰れる者も多いのだろうが、僕は頼まれてもこんな下り方はできないよwという感じ。
よほどこういったサーフェス・斜度の下りに慣れているのか?
足を置いてから考えてるの?いや考えていないのか?
あまり慎重になりすぎても脚を使う。
辛抱して下りながら思う。
このレースは、下りがキモだな。
テクニカルな下りをいかに消耗せずにスムーズに下れるか。登りは思っていたほどではないかも。(当然、のちに登りもヤヴァイと気づくw)
だいぶ下った先でエイド2に到着。
「Hola!(やあ!)」
「Gracias!(ありがとう!)」と声をかけると返事をしてくれるのがうれしいw
それにゼッケンにプリントされた日本の国旗をみて、「コンニチワーアリガトー」と言ってくれるスタッフもいる。
エイドの中ではすでに10人近くの選手が憔悴している。
確かに早々に潰れる選手も居るようだ。
水を補給し早々にエイドを後にする
『Pla Estany~Comapedrosa(エイド2)』のまとめ
✔序盤の大ボスコマペドローサ
✔手足の置き場に注意
✔落石に注意
✔下りで抜かれるのは気にしない
✔「Hola!」「Gracias!」で味方を増やす
Comapedrosa~Botella(エイド3)31km地点
エイドを出ると2度のアップダウン。
そして、暗闇のなかたくさんの牛が放し飼いされているエリアをひたすらに下る。
マーキングは程よくあり、前後にランナーもいるが、アップダウンを繰り返しながら下っていくため、ふと気を緩めるとルートを見失う。
マーキングと暗闇に光る牛の目が紛らわしい。
そして同じように牧草地を登り返す。
牧草地だが、岩が点在しており、足場には注意を要する。
この登り返しの際に、遠くで雷が鳴りだし、雨がざっと降ったが、結局それきりだった。先をいくRONDAの選手は僕らを心配していたらしい。
だいぶ下り、きゅっと登った先のBotella(エイド3)にピットイン。
このエイドでも一段と憔悴したランナーが腰を下ろしている。
確かに久保さんの言った通りだ。潰れる選手は一定数いる。
ここでも水のみ入れ替え、外に出る。
『Comapedrosa~Botella(エイド3)』のまとめ
✔牛に慣れる。
✔比較的進みやすいパート。とにかく脚を使わない。
(中編に続く)