まだスキーもしたことがないのに。
僕が富士吉田で聞いてきた話を聞いたARATAは、もう決めていた。
それから。
12月に入り、ゲレンデに通った。
年末には栂池でSKIMOデビューした僕の様子を見た。
日本を代表する選手やSKIMOに取り組む人々の様子にふれた。
YoutubeでSKIMOの世界戦を何度も観た。
SKIMO競技でスイスの双子が表彰台に並んでいる様子を観た。
彼の変わらない結論は。
SKIMOで世界一になるよ。
富士吉田への移住を決めたときは、僕もARATAも夏山遊びしか知らなくて。
富士山が裏山になったら、僕ら富士山で遊び放題だね!としか考えていなかった。
もちろん、キリアンを始めとするヨーロッパ勢が冬はSKIMO祭りしていることは知っていた。
だけどその時点では、僕らは自分事としては捉えていなかった。
後から気づいてしまったのだ。
富士吉田には日本を代表するSKIMOの発信基地があることを。
世界の舞台をどこから見るか?
彼はスタートラインから見ることに決めた。
そして表彰台から見ることに決めている。
とにかく世界の舞台に触れていたい。
彼が最後にみた世界の人は、UTMFでみたグザビエだ。
グザビエを見てから、彼は僕の山遊びに付き合うようになった。
明らかに変化した。
僕らはまた世界の舞台をみることにした。
彼はSKIのデビューレースを3月1日の苗場に決めた。
種目は大回転。
彼の出るU8カテゴリーは最終日。
目的はもう1つ。
同じ苗場でU14・U16の世界大会が日本初開催となる。
比較的年の近い人が出る世界の舞台。
SKIMOとはまた別の世界。
アルペン競技・大回転。
強い世界をみるのだ。